青木の出京その87
作品:青木の出京
作者:菊池寛
「実はね、主人の前は僕が責任を背負ってきたのだ。僕は君のために、この罪を背負ってこの家を出ようと思うのだ。君を罪に落したところで、僕が、君をこの家に紹介した責任は逃れないし、また僕が何も知らないで、小切手を引出しに行ったということも、ちょっと弁解が立たないし、これが表沙汰にでもなるというのなら、別問題だが、この家を出さえすれば済むことだから、僕も即座に決心してしまったんだ」
底本:「菊池寛 短篇と戯曲」文芸春秋
1988(昭和63)年3月25日第1刷発行
入力:真先芳秋
校正:林めぐみ
1999年1月6日公開
2005年10月17日修正
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