青木の出京その38
作品:青木の出京
作者:菊池寛
「俺は、哲学ということは、どんな学問だか、一向心得んが、いずれ国家に有用な学問に相違なかろうから、その方面の天才を保護するのも、決して無用のことじゃなかろう、君がそうまでいうのなら、青木という人も、家へ来てもらって一向差支えがない」と、こういいながら、何か掘出し物の骨董をでも買うような心持で、青木を世話することを引き受けてくれた。雄吉は、この時ほど、近藤氏を偉く思ったことはなかった。
底本:「菊池寛 短篇と戯曲」文芸春秋
1988(昭和63)年3月25日第1刷発行
入力:真先芳秋
校正:林めぐみ
1999年1月6日公開
2005年10月17日修正
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