青木の出京その124
作品:青木の出京
作者:菊池寛
二人は、尾張町から上野行の電車に乗った。ふと、雄吉は停留所の電柱の時計を見ると、ちょうど三時を示していた。明日の四時といえばもう二十五時間だ。二十五時間経てば、青木――雄吉にとっては、永久の苦手ともいうべき危険性を帯びたこの男は、東京にいなくなってしまうのだ。もう少しの辛抱だと思った。そう思っていると、青木は、
底本:「菊池寛 短篇と戯曲」文芸春秋
1988(昭和63)年3月25日第1刷発行
入力:真先芳秋
校正:林めぐみ
1999年1月6日公開
2005年10月17日修正
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
次>>
-------------------------------------------------------
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)行き交《こ》うている
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)自分の崇敬|措《お》く能わざる
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)のんびり[#「のんびり」に傍点]
-------------------------------------------------------